大判例

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東京高等裁判所 昭和36年(う)647号 判決

被告人 小林三郎

〔抄 録〕

原審が認定した事実は、第三被告人小林三郎、同岩崎泰一、原審相被告人廬在浩は金海某と共謀の上昭和三五年六月一五日頃横浜市南区南太田町二丁目一八三番地松島アパート二階六畳間においてフエニルメチル、アミノプロパンの塩酸塩を含有する覚せい剤注射液五CCアンプル入約二、七〇〇本を製造し、第四被告人岩崎、同小林は若杉ひさ子と共謀の上昭和三五年六月一五日午後七時頃より翌一六日午前九時五五分頃までの間被告人岩崎及び若杉ひさ子の当時の居室である前示松島アパート二階六畳間においてフエニルメチル、アミノプロパン塩酸塩を含有する覚せい剤注射液八リツトルを硝子製大瓶に入れ同室の押入内に隠匿して所持していたというのである。すなわち、右第三は覚せい剤注射液五CCアンプル入約二、七〇〇本の製造であり、第四は覚せい剤注射液八リツトルの所持であつて、第四の覚せい剤の所持は第三の覚せい剤アンプル入約二、七〇〇本製造に伴う必然的結果としてなされたものでもなく、又その製造過程中の行為でもないことは明らかである。原判決挙示の対応証拠によれば、右覚せい剤注射液は共犯者金海某が昭和三五年六月一五日前示松島アパート二階六畳間に持つて来たものであり、被告人小林、同岩崎、原審相被告人廬がこれを五CC空アンプルに詰めた上封かんして五CCアンプル入のもの約二、七〇〇本を製作し、その残つた注射液がすなわち第四の所持にかかるものにあたるのであつて、被告人小林は被告人岩崎及び若杉ひさ子に対し翌日とりに来るまで若杉方にこれが保管方を依頼し、岩崎、若杉がこれを承諾し、ここに右三名共謀して判示の期間若杉方居宅六畳間の押入内に右液体を隠匿所持していたものであることが認められるのである。右認定の事実によれば、本件第三、第四の覚せい剤注射液は元一個の行為により製出されたものであることは窺われるけれども、第四の覚せい剤の所持をもつて第三の覚せい剤製造罪に包括せられるものと認めるべきではなく、又右第三と第四の行為間に牽連犯の成立を認めるべきものでもなく、両者はこれを別個独立の行為として併合罪と認めるのを相当とするのである。原審の認定はこれと見解を同じくするものであつて、その法令の適用は正当であり、論旨は理由がない。」

(長谷川 白川 関)

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